クマゴロー 八木歯科 Yagi Dental Clinic
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口をあけるのは首の筋肉

食物をかみくだくとき、あごの運動にともなって、側頭部が動く。いわゆるコメカミである。これは、下顎の骨に付いている側頭筋が、側頭部に扇状に広がり、それが伸びたり縮んだりして起こる運動である。頭蓋と下顎との骨の間には、側頭筋を含めて左右四対の咀嚼筋があるが、咀嚼運動は咀嚼筋だけで行っているのではない。これらの筋肉は口を閉じたり、下顎の骨を前後左右に動かすことができるが、口をあけるには、どうしても首の筋肉が必要である。首には、左右で八対の筋肉がある。これらの筋肉は下顎の骨を下へ引いて、口をあけるほか、食物を飲み込む嚥下という働きがある。嚥下のときには、八対の筋肉をそれぞれどう動かしたらいいだろうか。いくら考えてもわかるはずがない。これらの筋肉は随意筋ではあるが、左右別々に動かすことはできないし、個々の筋肉を別々に動かすことも不可能である。 口の中にある食物を飲み込む際、嚥下運動が起こる。食物はまず舌の上にのり、その前部によって後方に送られる。次いで、舌の後部が後下方に動いて食物はさらに後方へ運ばれる。そして、喉頭蓋が後ろへ傾いて、気管の入口をふさぐ。食物はその上を通り、咽頭粘膜を通過すると、咽頭は前上方に引かれて、今まで閉じていた食道の入口が開く。 嚥下の始まりから食道の入口が開くまで、わずか0.2〜0.3秒である。口や首のまわりにあるたくさんの筋肉を、頭で考えながら動かしているだけの時間がない。そんなことをしていたら、人生は食事をするだけで終わってしまうことになるだろう。造化の神は人間の能力の限界を見越して、このように造ったとしか思えない。

(出典: 人体の不思議 吉岡郁夫著)

八木のコメント

愛知学院大学教授の書いた本からの出典です。食べる、飲み込むという複雑な動きを、簡潔な文章で綴ってあり、大変感銘を受けました。
また、養老孟司氏(元東京大学解剖学教授)の「中枢は末梢の奴隷」という本の中に「噛むための装置である顎関節は爬虫類が哺乳類になってからできたもので、新しく作られたものです。この顎の関節というのは非常にいい加減で、受ける側とはまる側とに簡単な凸凹があるだけなんです。」と書かれてあるそうだ。しかしながら、その単純さが、上記の複雑な筋肉の連携された動きを可能にしていると思えるのです。ですから、筋肉のほぐしやストレッチが顎関節には非常に有効であり、凸凹の間のクッションである関節円板を長持ちさせてくれるのだと、考えるわけです。



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