仕組みの中心は、脳の視床下部だ。食欲を起こす摂食中枢と、抑える満腹中枢がある。嗅覚、味覚、視覚、過去の経験の蓄積も影響する。
さらに様々な物質が複雑に絡み合って食欲を調節している。
例えば、ブドウ糖。食事で吸収されると血液中の濃度(血糖値)が上がり、摂食中枢を抑え、満腹中枢を働かせる。90年代半ばに発見されたレプチンは、脂肪細胞から分泌されて食欲を抑え、エネルギー消費を増やす。肥満症の人はレプチンが働きにくい。
ヒトが動物と違うのは、発達した大脳の機能も大きな影響を及ぼす点だ。空腹でも心配事があれば食べられず、満腹でも「もったいない」と思えば食べてしまう。食欲に関係なくだらだらと食べることもできる。「食欲は生物が生きていくために重要な本能の一つ。簡単には壊れない。肥満治療に詳しい中村学園大の坂田利家教授はこう話す。
食欲の基本的な仕組みは、進化の過程で飢餓から生き延びるのに有利なように備わっている。無理して食事を抜き、急激に脂肪を減らすとレプチンの濃度は大きく下がる。すると、体は飢餓だと認識し脂肪をため込もうとする。これが、リバウンドだ。
「こういう戦いを挑んではいけない。少しずつ量を減らし食欲をだますことです。こんなに少ない量で満腹になるのかと驚く人もいます。」
基本は、よくかんで食べること。満腹中枢が働くまでの時間をかせいで食事量が減るだけでなく、咀嚼自体が神経を刺激して脳内のヒスタミンを増やす。ヒスタミンは、食欲を抑え、生活習慣病にかかわる内臓脂肪の分解を特に進める。
ガムを10分間かんだ後と、そうでない場合にそうめんを食べる実験をすると、かんだグループの食べた量の方が少なかった。
では、別腹はどうして可能になるのだろう。
大阪大の山本隆教授(食行動学)は「甘い物はエネルギー源のブドウ糖を含むため、生物は積極的に取り込もうとする。どの味でも、同じ物を食べ続けるとおいしさが鈍る感覚特異性満腹という現象がある。違う味の物を口にすると、それまでの味がリセットされ、食が進む。甘い物はさらに、快感をもたらす麻薬様物質を脳内に生じさせ強い食欲をもたらす。塩分と違ってたくさん取っても体は拒否しない。
食欲を増したい場合は環境も大切だ。病気になると、食欲は衰えがちだが、食事場所をベッドから食堂にしただけで食べられるようになった患者もいる。食器、テーブルクロス、花、音楽なども工夫したい。ストレスを取り除くのも大切で、帰宅後夕食を取る前に入浴するのは、仕事中の消化管の緊張を解くため理にかなっているという。
以上、平成16年8月31日の朝日新聞からの抜粋記事です。
よくかむ!これが、食べ過ぎを防ぐポイントですね。
さあ、きちんと歯を治療する、予防ケアを歯科医院で受けることから始めませんか?
|